税制大綱 2025年度の法改正

query_builder 2025/04/17
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2025年(令和7年)度税制改正法が3月31日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立しました。 成立した税制改正法には、所得税法や法人税法、相続税法、租税特別措置法など国税の改正を一本にまとめた「所得税法等の一部を改正する法律案」、地方税の改正を一本にまとめた「地方税法等の一部を改正する法律案」があります。


まずは、大きな注目点を集めているのは「103万円の壁」の見直しです。

名種報道でも大きく取り上げられており、多くの方が関心を寄せていると思います。

この他、個人所得税では、子育て支援を目的とした扶養控除の改正、生命保険料控除の見直し、住宅ローン控除の特例措置の拡充・延長、そして確定拠出年金の拠出額増加などが検討されています。

法人税については、防衛増税や中小企業等の軽減税率の延長(多少の見直しを含む)などが議論の中心となります。

また、消費税に関しましては、外国人向け免税制度の見直しや国際課税制度の再検討、たばこ税の増税など、幅広い分野で議論が進んでいます。



♦103万円の壁

いわゆる「年収の壁」と呼ばれる、所得税がかからない上限ライン(現行では給与収入103万円)をどの程度まで引き上げるかが焦点です。

報道によると、これを160万円に引き上げる方向で調整が進んでいるようですが、所得控除や基礎控除に適用要件が設けられる見通しです。


今回の改正案では、給与所得控除を最低65万円、基礎控除を最大95万円に引き上げることで、控除額の合計が160万円に達し、給与収入160万円までは所得税がかからない仕組みを検討していると報じられています。

ただし、この基礎控除95万円が適用されるのは、年収200万円以下など一定の所得要件を満たす場合に限られる見込みです。そのため、すべての人らに、所得の高い層には別除制限が設けられるとさており、制度設計は複雑化する可能性があります。


また、この改正による減税効果は年間2万円程度との試算もあり、大きな恩恵を感じにくい方もいるかもしれません。さらに、2年間の時現措置との報道もあるため、企業の年末調整やシステム対応がさらに煩雑化するがあります。


現在、ご利用の給与計算システム等で法改正に十分対応できない場合は、この機会にシステム導入やリプレースえお検討されていることをおすすめします。


♦住民税と社会保険はどう変わるか


○住民税について

もう一つ注意したいのは、今回の基礎控除の増額案が住民税には直接影響しないという点です。つまり、年収160万円の方が「基礎控除が160万円になったから税金はかからない」と思っていると、後になって驚くかもしれません。
実際、住民税の基礎控除は43万円で据え置かれる見込みです。そのため、仮に給与収入160万円で給与所得控除が65万円だとすると、「160万円 – 65万円 = 95万円」から住民税の基礎控除 43万円を引いた52万円が住民税の課税所得になります。税率10%をかけると、年額52,000円の住民税を納める必要があります。
また、住民税は翌年に課税・徴収される仕組みなので、そのタイミングにも留意します。


○社会保険について

給与収入が年160万円になると、扶養範囲(社会保険の被扶養者)を超えるため、自分自身で社会保険に加入しなければならなくなるケースが考えられます。
たとえば、年160万円の給与に対しては、少なくとも年間22万円以上の社会保険料を本人が負担することになります(事業主も同額程度を負担)。この自己負担した社会保険料は住民税の控除対象になり、最終的な住民税額はおよそ3万円前後に下がると考えられます。
このように、たとえ給与が60万円程度増えても、社会保険料や住民税を含めた実際の手取り増加はおよそ35万円程度にとどまるかもしれません。一方で、社会保険に加入することで将来の年金額が増えるというメリットもあります。

うしたプラス面・マイナス面をどう考えるかは、「今」の手取りを重視するか、「将来」の年金を重視するかなど、個人の状況や価値観によって異なるでしょう。現状では、このように年収アップによる影響は人それぞれというのが実情です。


♦特定親族特別控除の新設

子育て支援の一環として、19歳から23歳未満の子どもがアルバイトなどで一定額まで収入を得ても、扶養する親が特別な控除を受けられる「特定親族特別控除」が新設される見込みです。
これは、現行の「特定扶養親族控除(63万円)」を拡大したイメージで、配偶者特別控除に近い仕組みになると報じられています。


現在は、子の所得が48万円以下(給与収入103万円以下)の場合にしか親が控除を受けられませんが、改正後は年収上限を150万円に引き上げる案が検討されています。具体的には、123万円を超えると「特定親族特別控除」の段階に移行し、150万円を超えると段階的に控除額が減る仕組みが想定されています。
なお、これはあくまで親の控除の話であり、子本人の所得税は前述の「103万円の壁」などのルールに従って課税されます。




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